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検査紹介:核医学検査

核医学検査の詳細

微量の放射性物質(RI)を検査する人の体内に入れ、体の中から放射線を出して行う検査です。体の中に集まった(または集まっていく)RIをガンマカメラという放射線検出器型カメラで画像化して、体内のいろいろな部位の機能や形状を確認することができます。
体内に入ったRIは、検査後も体や尿などから放射線を出してしまうので注意が必要ですが、ほとんどの検査で翌日には影響しません。体内には微量にしか入れていないため、カメラを体のすぐ近くに寄せ、数十分程度動かないでじっとしてもらう必要があります。
検査用の放射性医薬品は、非常に早く減衰(放射線量がどんどん減る状況)してしまうので、検査当日のみしか使用できず、当院では予約検査でしか行えません。

骨シンチグラフィ

骨シンチグラフィ

全身の骨の画像が得られます。骨腫瘍の検索、再発性病変の経過観察、骨髄炎や関節炎の評価、骨折等の検索、そして治療に対する効果判定などに適用されます。
頭から足先まで全身を簡便に検査できるのはこの検査の特徴で、他の画像診断にはない大きな利点と言えます。

主に骨に集まる放射性医薬品をひじ等の静脈から注射します。血液から体内に広がった薬は、徐々に全身の骨に取り込まれ、3時間ほどで骨以外の薬が排泄され、診断しやすい画像が得られます。そのためこの検査では午前中に注射し、午後にまた検査室に来ていただいて撮像しています。
注射後、薬はおしっことして排泄され始めます。こまめに水分を摂り、余計な薬を体から出すように心がけてください。また、骨盤部もしっかり診られるよう、午後の撮像直前の排尿をお願いしています。

撮像にかかる時間は検査目的で異なりますが、約20分~50分ほどです。撮像中のせきやくしゃみ、あくびなどはそれほど影響ありませんが、途中で足を組む、手を曲げるといったような体の形が大きく変わるような動きは控えてください。

負荷心筋シンチグラフィ

負荷心筋シンチグラフィ

心臓の血流状態を画像化します。
心筋梗塞の評価および梗塞後の心筋生存評価、冠動脈再建術後の治療効果判定などに適用されます。
心臓に負荷をかけることで、血流が正常に保たれている範囲と虚血に陥っている範囲とがより明瞭に現れてきます。同日のうち、安静状態での検査も行い、双方の画像が比較されます。
また、心電図と同期して画像収集を行うことで、負荷時・安静時の心臓壁運動を動画で観察することが可能です。

検査は午前中から始まります。まず、点滴・心電図・血圧計を装着し、トレッドミルというランニングマシーンの上で早歩き程度の運動をしていただきます。循環器科医師が「心臓に充分な負荷が加わっている」と判断した時点で、放射性医薬品を点滴から注入します。それから30分後、ガンマカメラで心臓の血流状態を画像化します。運動ができない方でも、血管拡張作用のあるお薬を注射することで同様の検査が可能です。
この場合は、お茶やコーヒーなどに含まれるカフェインの摂取に制限があります。
午後に運動や血管拡張剤の注射をせず安静な状態で、もう一度放射性医薬品を注射して30分後に心臓を撮ります。

撮像にかかる時間は20分ほどです。肝臓・胆のう等に集まった薬が心臓の画像に影響するので、それを軽減する目的で撮像前にチョコレートを食べていただきます。

脳血流シンチグラフィ

脳血流シンチグラフィ 脳血流シンチグラフィ

脳の血流状態を画像化します。
脳血管の塞栓(脳梗塞)や血管の狭窄、認知症、脳炎などに適用されます。
放射性医薬品が注入されたその瞬間の脳血流分布を画像化するため、脳梗塞の評価はもちろん、脳外科手術前の「血管遮断時の血流分布」の評価などが可能です。また、「一定時間内にどれぐらいの血液が脳に流れたか」を調べることでアルツハイマー病などのように脳全体の血流量が減少する疾患の検出も可能です。

検査を始める前に、脳が光の刺激を受けないように目隠しをした状態で横になっていただきます。5~10分後、静脈注射をして撮像を開始します。
検査時間は、薬の種類で異なり30分~1時間ほどです。

 

その他の検査

脳槽脊髄腔シンチグラフィ

脳脊髄液の灌流状態を把握します。例えば交通事故等でむち打ち症と診断され、それ以降慢性的な頭痛に悩まされ原因もわからなかった方が、この検査を受けて脳脊髄液漏出症という疾患であることが判明するケースもあります。

肺血流・肺換気シンチグラフィ

静脈から放射性医薬品を注入することで、肺の血流分布を画像化します。また、放射性物質を混合した空気を吸入することで、肺の換気分布も画像化することができます。

他にも、甲状腺・腎臓・心臓・腫瘍・炎症など、多くの検査を行っています。

当院で稼働中の核医学検査装置

当院ではガンマカメラにCTが合体したSPECT-CT装置が稼働しています。それぞれの画像を重ね合わせることで位置の正確さが大きく向上します。副腎や腫瘍検索、消化管出血の検査などでは欠かせない存在となっています。重ね合わせ用のCTによる被ばくは、通常のCT検査の5%程度に抑えられています。

当院で稼働中の核医学検査装置 当院で稼働中の核医学検査装置

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