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がんの治療目標と治療成績

食道がん

食道は下咽頭(のどの奥)に続き、胃の入り口までの約30cmの管腔臓器です。外科手術の対象になるのは、ほとんどが悪性腫瘍、つまり食道がんです、心臓の後ろで背骨の前、胸部の真ん中(縦隔)を通っているので、手術のアプローチが大変で、胸を開く大きな手術になりますが、がんの進行度、発生部位、患者さんの身体状況(年齢、合併症など)にあわせて、比較的負担の軽い手術方式を選ぶこともできます。

早期のがんに対しては、適切な手術方式を選択することにより、大半の患者さんが完全治癒されています。また比較的進行したがんに対しても、手術と放射線治療、抗癌剤療法を組み合わせることにより、良い成績をあげています。当科で扱った全食道がん患者さんの、がん治療の目安となるいわゆる5年生存率は46%となっています。半数以上が5年生きられないという数字になりますが、いわゆる早期の段階であれば、5年生存率は91%となっています。一旦進み始めると比較的速く進行してしまうのが、食道がんの特徴です。早期発見、早期治療を目標に診療にあたっています。

食道がんの他に、食道胃逆流症や、食道アカラシアといった、良性疾患の外科治療にも積極的に取り組んでいます。

胃がん

当科では年間150-180例の胃がんの患者さんを手術しています。このうち約60%が早期胃がん(がんが胃の壁の浅いところに留まっていて、手術で切除することによりほとんど治ってしまう)です。

最近は,このような早期胃がんに対しては機能温存を目的とした縮小手術を施行しています。機能温存手術としては、胃の出口にある幽門を温存する幽門温存胃切除術(これにより食後の腹痛、下痢、低血糖などのいわゆるダンピング症状を起きにくくします)、空腸嚢作成(小腸の袋を作成し、これを代用胃としより多く食べられるようにします)、迷走神経温存手術(お腹の各臓器へ分布する神経を温存し、術後の下痢や便秘を起きにくくし、また胃切除後の胆嚢結石の発生を少なくします)などがあります。また術後の創の痛みを軽くし、なるべく早く退院、社会復帰ができるよう腹腔鏡下での胃切除術(お腹を大きく開けずに、内視鏡や特殊な機械を用いて胃を切除する)も施行しています。

これに対し進行胃がんでは、拡大リンパ節郭清(がんが転移している可能性のあるリンパ節を広い範囲で取る)や他臓器合併切除(膵臓,脾臓,大腸など)により、手術によるがんの完全切除を目指しています。

しかし高度進行胃がんでは、手術のみで治せる可能性は少なく、このような場合には手術の前や術後に抗癌剤を使用することもあります。

大腸がん

大腸がんは現在、手術により切除することが基本的な治療法となっていますが、近年その方法も著しく進歩し、がんの部位、進行度により手術方法が異なっています。

当科では早期がんに対しては内視鏡や腹腔鏡を使った治療を主として行っています。特に腹腔鏡を使った手術は治療に伴う身体への負担が少ないとされており、大腸がん手術例の約10%を占めています。また進行がんに対しては、がんの治療として可能な限り機能温存手術(排尿・性機能障害や人工肛門を避ける手術)をとり入れ、患者さんの手術後生活の質の向上に努めています。一方、さらに進んだがんには、拡大手術を行い、再発がん(肺転移、肝転移など)に対する外科的治療にも積極的に取り組んでおり良好な治療成績が得られています。

肝がん・胆道がん・膵がん

肝臓・胆道(胆嚢、胆管)・膵臓は、各臓器が隣接し、その働きも相互に巧みに連携しています。胃腸のがんに比べれば頻度も少なく、また早期発見も難しく、治療に難渋することも多いですが、肝切除、膵切除は手術手技の向上により以前に比べて安全で確実に行えるようになりました。

肝臓がんは、肝臓に原発する原発性肝臓がん(肝細胞がん・胆管細胞がん)と、他臓器からの転移による転移性肝臓がんに分けられます。原発性肝臓がんのほとんどが肝細胞がんであり、内科的治療が急速に進歩しつつありますが、最近手術の良さも再評価されています。我々も手術に加えて、血管造影にて栄養血管の塞栓(TAE)、エタノール注入療法(PEIT)、マイクロ波・ラジオ波によりがんを焼いてしまう腫瘍凝固壊死療法(MCN, RFA)を組み合わせて治療を行っています。最近では、腹腔鏡を用いた肝切除や腹腔鏡下でのマイクロ波・ラジオ波療法にも取り組んでいます。転移性肝臓がんは、(原発巣の切除に加えて)肝切除をすることで、治療成績をかなり向上させることができました。切除不可能な肝転移に対しても肝臓へ行く血管にカテーテルを留置し、抗がん剤を直接肝臓へ注入する動注化学療法を中心とした治療を行なっています。

胆道がんは大きくわけて胆嚢がんと胆管がんがあります。胆嚢がんは、肝臓にくっついた部位から肝内に浸潤するだけでなくリンパの流れから膵臓へも進んでいきます。当院の胆嚢がん手術患者数は全国的にみてもかなり多く、その結果を踏まえながら、必要であれば肝切除や膵切除などを組み合わせた拡大手術を積極的に行っています。胆管がんは胆汁の通り道を塞いで黄疸などの症状を発現させるため、比較的発見されやすく、中でも下部(膵臓に近い方)胆管がんは、膵切除をおこなうことにより治癒が得られやすい病気です。ただし上部(肝臓側)胆管がんは解剖学的位置関係から、完全切除が得られづらく、また再発もしやすいため、大量の肝切除が必要になります。

膵臓がんは、症状が出づらいだけでなく、胃の背中側の後腹膜に位置し周囲の神経やリンパに容易に浸潤していくため、消化器がんの中でも最も治りにくいがんの一つです。ただし、長期生存が得られるのは手術療法のみであり、少なくとも痛みや黄疸を取り除いてQOLを高めるためにも手術が必要になります。決してあきらめることなく、治療成績の向上を目指しています。

乳がん

乳がん:『できるかぎり小さな手術、そして術後の快適な生活』を目標とし、乳がん手術に取り組んでいます。平成3年より乳房温存手術に取り組み、現在60%以上の患者さんが乳房全切除せず部分切除ですんでおります。

乳がんは他の「がん」と違い乳管に沿って進む乳管内進展と多発がんの性質があります。これらの状況を正確に診断するため、放射線科と協力し、平成5年より乳がんに対しMRI検査を応用してきました。その結果、乳管内進展や多発がんの診断にはMRI検査が一番優れている事をつきとめ、本邦でいちはやく発表し多数の患者さんに応用してきました。これらの成果がみのり、現在本邦においては乳がんの診断においてMRI検査は不可欠な検査になっております。

当科では検査の内容をすべて患者さんに公開し、どの手術がふさわしかお互いに相談しながら患者さんの納得のいく手術を行っております。また、乳房喪失に対する不安のある患者さんには形成外科と協力し乳房再建術を行っております。

術後治療においても患者さんと相談しながら納得のいく治療を心がけております。術後10年間は当科が責任を持ってフォロー致します。現在年間50例以上の患者さんに手術を行い、StageIの10年生存率は94%以上に達しております。

今後とも一人一人の患者さんの病状に応じた手術とその病態に合った治療を心がけ、常に検査の情報を公開し、患者さんの納得のいく治療行って行きます。

内鏡視下手術

鏡視下手術とは従来の腹部を大きく切開する手術法と異なり、内視鏡(腹腔鏡)などの機器を使用しながら小さな傷で手術を行い、しかも従来の手術同様の治療効果が得られる方法です。特徴としては傷が小さく美容的な意味を持つほかに、手術後の回復が早く早期の退院が可能であることがあげられます。

当科では胆嚢、胆管、大腸、胃、肝、脾臓の疾患を中心に腹腔鏡手術をとり入れています。特に胆石症の手術では年間約70名の方がこの手術を受けられ、手術後3日程度での退院が可能となっています。また大腸早期がんの手術でも年間約20名の方がこの手術を受けられており手術後平均8日程度での退院が可能となっています。しかし、どんな病気でもこの手術が受けられると言う訳ではなく、この手術の適応は各臓器の専門の医師が、充分に安全性や病気の程度を検討した上で決定しております。

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