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輸血部

輸血部の紹介

輸血部は、血液型の検査や輸血用血液製剤の管理業務、移植のための業務、採血業務を主な仕事にしています。

輸血は普通の点滴のようにみえますが、他人のものを体の中に入れるということで、赤血球が壊れたり、発熱やじんま疹、感染症といった副反応が出る恐れのあるものなのです。

輸血部では患者さんの担当の医師と協力し、輸血が安全に行われ患者さんの福音となるよう、また献血で得られた貴重な血液が患者さんに役立つよう心がけております。また、日本輸血・細胞治療学会のI&A認証施設として認められており、認定輸血検査技師、認定臨床輸血看護師を中心に、安全で適正な輸血医療を心がけ、多施設の模範となるよう改善に努めております。
以下に、輸血部のおおまかな仕事の内容と、患者さんからよく聞かれることをQ&Aにまとめましたのでご覧下さい。

業務内容のご紹介

1.輸血のための検査

ケガや手術で出血したり、病気で貧血状態の患者さんには、他に方法がないと医師が判断した場合に輸血を行います。

輸血をする際、絶対に間違えていけないのがABO式血液型です。そこで、間違いがないようにたくさんの検査試薬を使ったり、複数回検査したり、コンピューターで確認したうえで血液型を決定します。
また、実際に輸血する血液の一部と患者さんの血液を反応させ、患者さんに輸血しても大丈夫と判断した血液だけを輸血することになります。

一方、輸血で使う血液はすべて献血でまかなわれているため、病院では赤十字血液センターから血液製剤を取り寄せます。患者さんに安全に使ってもらえるよう輸血部で厳重に保管・管理しております。
輸血部ではこうした輸血に関する検査や、輸血する血液の管理を行っています。

2.移植のための検査

腎移植などの臓器移植や造血幹細胞移植に必要な組織適合検査、また造血幹細胞の採取・保存も輸血部の仕事として行っており、輸血を含めた細胞治療を担う部門となっています。

移植の検査については、「(社)日本臓器移植ネットワーク」の中の「山形県移植検査センター」の役割も担っており、腎移植を希望される患者さんの登録のための検査も行っております。
※臓器移植に関する詳しい説明は、「(社)日本臓器移植ネットワーク」をご覧下さい。

3.採血の仕事

採血の仕事も輸血部の仕事の一つで、専任の看護師がおります。患者さんが他人の血液でなく、自分の血液を貯めて手術にのぞむ「自己血輸血」の採血や、造血幹細胞を移植する患者さんや提供者からの造血幹細胞の採取も行っております。

Q&A:よくあるご質問と回答

輸血部に患者さんからよく聞かれることをQ&Aにまとめましたのでご覧下さい。

血液型が変わることってありますか?

血液型は両親から血液型遺伝子を1個ずつもらってできているので、原則的には一生涯変わることはありません。

つまり、A型(A/A,A/O)とO型(O/O)の両親からは、A型(A/O)とO型(O/O)しか生まれないというメンデルの法則に従っています。しかし、「原則的」といったのは例外があるからです。

その1つは、O型(O/O)とO型(O/O)の両親からは通常ありえないA型の子供が生まれたりしていることが、最近の血液型遺伝子のDNA検査で分かってきたことです。これは、遺伝子のDNAを造っているアミノ酸の一部が変化してできるものです。

2つめは、骨髄移植を受けた患者さんの血液型が変わる場合です。A型の患者さんがO型のドナー(提供者)からの移植を受けると、血液型もドナーの血液型になってしまいますので、この場合、移植後はO型に変わってしまいます。

その他に、細菌の酵素によりB型に変化する例や血液疾患でO型に変化する例がありますが、これは病気が原因となっているもので、病気の回復によりなくなってしまう一過性の変化です。

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Rh陽性の両親からRh陰性の子供は産まれますか?

産まれます。
Rh血液型もABO血液型と同じように、両親から血液型遺伝子を1個ずつをもらってできています。

Rh血液型にはC,c,D,E,eという5つの型があって、そのうちの「D」を持っているか(DD/D-)、いないか(--)で陽性、陰性を決めます。
つまり、両親が(D-)×(D-)であれば、(DD)、(D-)、(--)の組み合わせが生まれますので、Rh陰性の子供が産まれても不思議ではありません。なお、日本人のRh陰性の割合は0.5%と少なく、これは200人に1人ということになります。

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自己血輸血ってなあに?

手術前に自分の血液を貯めておいて、手術で必要なときに使う「自己血輸血」は、他人の血液を使う通常の輸血に比べ、感染症や副反応の心配がありません。採血する量は献血と同じで、貧血や熱などがないときに週1回200~400mlを貯えます。患者さんの状態や手術の方法により異なりますが、手術の数週間前から2~3回に分けて400~1200mlくらいを貯えます。

採血は針を刺す時少々痛みはありますが、特別な処置は必要ありません。患者さんから採血をしますので、事前に十分な検査ときちんとした採血計画を立てますし、必要により水分補給の点滴や血液を造る作用を助ける薬を使ったりしますので、献血されたことのない方や貧血に対する不安をお持ちの方でも、とくに心配されることはありません。

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献血したいが病院でできるの?

現在、輸血用の血液は日本赤十字血液センターでのみ採血・供給を行うことができます。

例外的に病院で採血を行うのは、緊急時や日赤の血液が不足した場合など、特別な理由のあるときで、しかも特定の患者さんのためだけに限られます。
したがって、病院では献血という形で採血をすることはできません。献血の方法としては、山形駅前献血ルームSAKURAMBO(山形センタービル5F)、学校や職場をまわる移動採血車を利用することになりますが、ご不明な点は下記へお問い合わせ下さい。

●山形県赤十字血液センター
 〒990-0023
 山形市松波一丁目18番10号
 TEL:023-622-5301
 山形県赤十字 血液センター

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輸血の必要性について

輸血は必要とする成分だけを補充する「成分輸血」が一般的で、貧血を補うための「赤血球輸血」や、出血を止める「血小板輸血」、凝固因子を補う「血漿輸血」に分けられます。

しかし、輸血は他人の血液を入れることから、感染症や副反応の危険性があるため、医師はまず、他の治療法がないか、自己血輸血は可能かといった選択を行います。
そのとき「輸血の必要性」が感染症や副反応といった「輸血の危険性」を上回った場合にのみ、医師は輸血を選択することとなります。輸血の際、患者さんやそのご家族の方に、このような輸血の必要性と危険性について詳しく説明し、同意を得た上で輸血を行うことになっておりますので、ご不明な点や疑問な点がありましたら、遠慮なく主治医にご相談下さい。
なおその際、医師からきちんと説明を受け、同意された事を確認するために、「輸血同意書」に署名いただいております。

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輸血の副反応について

1.免疫反応

輸血用血液に含まれる白血球や血漿成分により、以下のような副反応が起こる可能性があります。

  • じんま疹や発熱が数十回輸血に一回起こります。一般に軽症ですが程度により輸血を中止することがあります。
  • 患者さんによっては頻回にじんま疹や発熱をおこしますが、一般に抗アレルギー剤対処で輸血可能です。
  • 重症なアレルギー反応に呼吸障害や血圧低下があります。数千回から数万回輸血に一回の頻度です。
  • 輸血後、まれに溶血を起こすことがありますが、重症化することはほとんどありません。
2.輸血による感染症

献血による血液はすべて核酸増幅法という遺伝子による検査が行われるようになり、日本の血液は世界一安全といわれるようになりました。しかし、以下のような頻度で感染症の起こる可能性があります。

  • HIV(エイズをおこすウィルス)の感染は国内献血輸血では1千万輸血に1回ほどと考えられます。
  • B型肝炎とC型肝炎ウィルスの感染は国内献血輸血で年間0件から数件の報告があります。
  • 国内献血制度の確立後、マラリア感染の報告は数年間に1件、梅毒感染報告はありません。その他、大変まれな感染の可能性は否定できません。
  • 万が一の輸血後感染症チェックのため、輸血前と2、3ヵ月後に同意を得たうえで感染症の検査を行うことがあります。
  • 輸血の副反応の中でもっとも重篤である移植片対宿主病(GVHD)は、血液に放射線を当てることにより防止することができ、当院で使用する輸血用血液は、すべて事前に照射が済んでおり、GVHDを引き起こす心配は全くありません。

 

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輸血同意書ってなあに?

前にも述べたように、輸血には感染症や副反応といった危険性が含まれています。

そこで医師は他の治療法や自己血輸血なども検討し、最終的に輸血が必要だと判断した場合に、患者さんやご家族の方に輸血の必要性と危険性に関する説明をし、同意を得た上で輸血を行うことになっております。
なおその際、医師からきちんと説明を受け、同意された事を確認するために、「輸血同意書」に署名いただいております。

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輸血の値段ってどうなってるの?

輸血用血液の薬価(令和4年4月現在)
血液製剤名 照射赤血球液
-LR
照射濃厚血小板
-LR
新鮮凍結血漿
-LR
規格・単位 200ml
由来
400ml
由来
5
単位
10
単位
15
単位
20
単位
200ml
由来
400ml
由来
薬価(円) 9,067 18,132 41,038 81,744 122,604 163,471 9,160 18,322
算定容量 140ml 280ml 100ml 200ml 250ml 250ml 120ml 240ml

輸血料 最初の200ml 1日目450点、2日目以降350点
200ml毎350点
注射料 1日500ml未満50点、500ml以上99点
(6歳児未満の乳幼児の場合は100ml未満96点、100ml以上147点)
放射線照射料 400ml毎に110点(※当院では薬価に含む)
検査 血液型検査:54点
不規則抗体検査:月1回197点、頻回輸血を行う場合1週間に1回
交差適合試験:30点、間接クームス検査 47点

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