コロラド大学研修の実際 ~心臓血管外科編~
心臓血管外科の佐藤弘隆です(平成18年(2006年)卒)。2010年3月5日から3月29日までの三週間、コロラド州の首都デンバーにあるコロラド大学病院での研修を経験しました。
心臓外科の診療体制
心臓外科のstaffは5人います。実際に成人心臓に関しては教授をはじめ3人であり、その下にfellow※がいます。日本でいう専門研修医にあたる人です。
病棟管理はfellowを中心に外科研修医、physician assistant,clinicalナースでチームを形成し、それぞれが連携して診療に当たります。
※Fellowについて - 5年の外科研修を経て、2年間の大学院。その後、胸部外科fellow後で心臓専門に所属しています。5年間で外科系を含め1300件の術者を経験します。心臓専門のFellowの間に約300の開心術をこなすプログラムです。
研修のスケジュール
朝6:30よりICU回診を行い、7:30から手術開始です。手術終了後に解散となりますが、病院に泊まるケースも2日ほどありました。
ICU回診は外科研修医がプレゼンをします。その準備に朝5時に病院に来るそうです。
AM6:30~ | ICU回診、病棟患者の検討(resident中心) |
---|---|
AM7:30~ | 患者入室、手術へ 手術見学(術者:fellow,助手staffの二人で) 手術終了後は術後管理、病棟回診等 |
カンファレンス | 月曜:7:00~surgery section presentation 水曜:6:30~thracic surgery presentation 木曜:16:00~cardiac surgery presentation |
手術
基本毎日開心術はあり、ほとんど見学させていただきました。心臓の手術そのものは、日本で行っている手術とあまり変わらず、技術としても当院の方が非常に優れている印象でした。
実際の映像です。術者は全例fellow、あとは専門のスタッフと二人で手術をします。見学の学生が入ることはあります。その他看護師が術者の横におり、器械をスムーズに出していました。外科研修医はCABGの静脈グラフト採取の際に入りますが、取り終われば、手を下ろし、病棟やICUの仕事をします。
一つ一つの職種の仕事の役割分担がはっきりしており、病院全体としてのシステムが整っている印象をうけました。
実際見学した症例
症例 | 手術 | 手術時間 |
---|---|---|
3vessel CAD | CABG | 5.5H |
Pulmonary valve stenosis,TOFope後 | PVR | 7H |
Aortic dissection(Hemiarch後) Pseudoaneurysm | Aortic
root replace ment Daivd法 |
8H |
HCM septal myomectomy後 LOS | BiVAD装着術 | 5.5H |
TVR | TVR | 5H |
Descending aortic aneurysm | Endvascular arch repair | 4H |
3vessel CAD | CABG | 6H |
Interstinal lung disease | Lung transplantation | 3.5H |
MR,MS, | MVR(Mechanical) | 5H |
2vessel CAD | CABG | 4H |
IE mitral valve | MVR(porcine) | 5.5H |
AS | AVR(Mechanical) | 5H |
4vessel CAD | CABG | 6.5H |
Tracheal SCC | Carinal resection | 8H |
BIV ICD lead fracture | Laser lead extraction | 2H |
4vessel CAD | CABG | 6H |
5vessel CAD | CABG | 不明 |
研修終了時にスタッフの方と話しをしたら、是非来年からも来ていただきたいとのことでした。胸部外科だけでなく外科部門全般に大歓迎とのことでした。
皆、写真をとりましょうというと快く引き受けてくれます。僕の拙い英語でもみんなかなりやさしく接してくれます。