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病院ガイド|04

宗教的輸血拒否に対する診療方針

Ⅰ 宗教的輸血拒否患者に対する診療方針

 山形県立中央病院(同がん生活習慣病センター及び同救命救急センターを含む。以下、「当院」という。)は、宗教上の理由により輸血を拒否する患者さんに対する診療方針を次のとおりとします。

「緊急かつ救命のため、輸血以外の治療法が無い場合は輸血を行います。」
(以下、「相対的無輸血治療」といいます。)

Ⅱ 診療方針の基本的考え方

 当院では、宗教上の理由により輸血を拒否される患者さんの思想や自己決定権については最大限尊重し、患者さんが希望される輸血療法の代替療法についても検討を行います。ただし、輸血療法が救命のため必要不可欠であると判断した場合は、「県民の健康と生命を支える安心と信頼の医療」という当院理念に則り、輸血療法を行うこととします。
 このため、患者さんやご家族が持参するいわゆる「免責証書」には署名は行わず、これをお預かりすることもいたしません。
 この考え方については、患者さんの年齢や判断能力の有無にかかわらず適用し、当院における宗教的理由により輸血を拒否される患者さんに対する診療の基本方針とします。

Ⅲ 具体的な対応

1 手術等までに待機的な時間がある場合

 観血的な検査や手術となることが予見され、輸血療法の可能性が見込まれる場合、主治医は患者さん・ご家族に対して当院の方針を十分説明し、相対的無輸血治療の同意を得られるよう努めるものとします。
 その結果、同意が得られた場合は同意書を徴取のうえ、相対的無輸血治療を実施しますが、同意を得られない場合は速やかに他院への転院を勧告します。
 なお、患者さん又はご家族が転院勧告を拒否した結果、手術等までに待機的な時間の余裕がなくなったものと認められるときは、主治医は、カルテに経過を詳細に記入のうえ、上席医師の同意を得て「2 緊急時の場合」により対応することとします。

2 緊急時の場合

この方針において「緊急時」とは、

① 緊急搬送された患者さんであって、輸血療法のみが救命のための治療法であると判断される場合

② 患者さんの急変や予定手術において、当初の想定と異なる予想外の事態が発生し、輸血療法のみが救命のための治療法であると判断される場合 などをいいます。

 主治医は、緊急時であって輸血療法以外に救命や重篤な後遺症の残存を避ける治療法がないと判断した場合は、上席医師の同意を得て相対的無輸血治療を実施します。
 この場合、主治医は患者さん・ご家族に経過を十分説明するとともに、カルテにも詳細な経過を記入することとします。

3 患者さんが子ども(18歳未満)の場合

 患者さんが子どもであっても当院の方針に変更はありませんが、親子関係にも十分配慮したうえ、児童福祉法、児童虐待防止法などの規定に基づき、必要と判断した場合は、児童相談所、福祉事務所等に通告することがあります。

 相対的無輸血治療の実施中に止むを得ず輸血療法を行った事例について、当該診療科長は直近の倫理委員会に当該事例の経過等について報告するものとします。

 本方針を広く一般に周知するため、院内に掲示するとともに当院ホームページに掲載します。

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