放射線部の検査紹介
今からおよそ120年前、ドイツの物理学者レントゲンによってX線が発見されました。それ以降、放射線医療は急速に発展してきました。X線CTが発表されたのはおよそ50年前。当時のCTは、1枚の輪切り写真を撮るのに数分を要していました。日本に初めてMRIが登場したのはおよそ40年前。映画「E.T.」が公開された1982年のことでした。
そして現在。私たちはご覧のような装置を用いて、多種多様な検査・治療を実施しています。ここでその一部をご紹介します。
単純撮影系 マンモグラフィ
一般に言うレントゲン写真とは、X線という大きなエネルギーを持つ電磁波によって撮影された画像のことです。
例えば窓ガラスについた淡い汚れなどは眩しすぎても暗すぎても見えないように、観察対象によってX線のエネルギーは変える必要があるのです。乳腺を観察するためのマンモグラフィは、X線写真の中では最も低いエネルギーで撮影されています。
CT
当院で稼働中のCTは約 0.5mm厚のスライスで撮影できます。これを体積データとして再構成することで、輪切りのみならず、縦・横・斜めの自由なスライスや3Dでの表示が容易になりました。例えば絶えず動き続ける心臓も、まさに動いている様子として画面上に表示させることさえ可能となり、診断に大きな変化をもたらしました。
MRI
MRIは大きな磁石からできています。
その中に身をおきある周波数の電磁波を照射すると、人体の水素原子はそれに呼応する様に信号を発します。 その信号を、コイルと呼ばれるアンテナで受信して画像化します。
核磁気共鳴影像法。
とくに脳脊髄領域では、もはや欠くことのできない重要な検査となっています。
透視
消化管検査、ステント挿入、胆道ドレナージ、腎盂造影、子宮卵管造影、脊髄ミエログラフィ、まだまだあります。透視は多くの検査や治療にとって必要不可欠な存在になっています。一番のメリットは、今この瞬間の体内の様子を観察できること。写真ではできない多くの検査が透視下にはあるのです。
心臓カテーテル
足の付け根、または手首の血管から挿入されたカテーテルは、ガイドワイヤーと呼ばれる細くて柔らかい針金と透視画像を頼りに心臓の冠動脈に到達します。
カテーテルから造影剤を流して撮影し、もし詰まりかけた血管病変が確認されたら、バルーンやステントによる血管内治療が検討されます。
脳血管撮影
血管撮影は脳神経外科的に重要な検査であり、動脈瘤はもちろん、脳腫瘍でもそれは変わりません。動脈瘤の位置・形状の把握、腫瘍の栄養血管の検索などは、治療する上で無くてはならない情報です。
また、動脈瘤のコイル塞栓術、急性期脳梗塞に対する血栓溶解術や血栓除去術などの血管内治療も行なわれております。
核医学検査
例えば骨に集まりやすい物質と放射性物質とを合成し、注射します。その後放射線を検出するカメラで全身を撮影すると、骨の中でもよく集まる部分とそうでない部分とが画面上に現れてきます。
核医学検査とは単に臓器形状を見るのではなく、各器官の働き具合や血液の取込みの程度を目に見える形にする、すなわち機能画像を得ることと言えます。