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被爆について<放射線部>

自然放射線について

人は地球上で生活している以上、宇宙や台地などから自然放射線を受けています。その量は世界平均で年間約2.4mSvと言われています。日本では年間約1mSv、ブラジルなどでは日本の8~15倍の自然放射線を受ける場所も存在しています。ちなみにある疫学的調査によると、自然放射線の多い地域と少ない地域の人々には発がん率の差が見られないという結果が出ています。

放射線は、私たちの身の回りにごく当たり前に存在しているものなのです。

確定的影響・確率的影響

放射線の影響は、確定的影響・確率的影響のふたつを考慮しなければなりません。

確定的影響

放射線による細胞損傷によるもので、ある線量を超えて被ばくすると障害が現れます。この線量をしきい線量といい、対象となる臓器・器官によってそれぞれ異なっています。しきい値以下の線量では、傷ついた細胞は自己補修機能により回復します。
発がんや、遺伝的影響以外の障害はすべて確定的影響に分類されます。

しきい線量について

放射線の影響が出現する最小の線量です。ある集団が同様に被ばくしたとして、そのなかの1~5%の人々に異常がみられる線量とされています。

●確率的影響

がんや白血病の発症と、寿命などの遺伝的影響のことを言います。被ばく線量が増えれば、それに比例して影響の発生率も上昇します。放射線の影響なのか、自然発症なのかの見極めが難しいため、特に低線量被ばくにおける影響の度合いは説明が難しいようです。しかし、おおむね100mSvを超える被ばくを受けた時、有意な発がんリスクの上昇があるというのが専門家の間での一致した見解です。UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)発表の「先進工業国における成人の平均被ばく量」によると、胸部写真が0.14mSv、腹部写真が0.5mSv、CTが8.8mSvとなっています。現在のCT検査ではもっと線量を与える必要がある検査もありますが、これらの検査で発がんを心配する必要はないように思います。今現在の体の異常を見つけることの方が非常に有益であるとも言えるのではないでしょうか。

ここで注意しなければならないのは、「がんになる」のではなく、「がんになる可能性が高まる」ということです。

それに絡んだ興味深いレポートがあります。生活の周りの様々なものが、自分の寿命をどの程度短くする可能性を持っているかを割り出したものです。

独身男性 3500日
たばこ29本/日 2250日
交通事故(車) 207日
130日
放射線検査 11日
自然放射線 8日
コーヒー 6日

参考:BERNARD.L.COHEN&I-SING.LEE

妊娠中における胎児の被ばく

特に女性の方は、妊娠中や胎児への被ばくとその影響が気になるところだと思います。確かに大量の放射線被ばくによって胎児が死亡したり、その他の障害を起こすことはあります。しかしこれは特殊なケースと考えるべきであり、通常の診断目的のX線写真やCTなどでは起こりえない被ばくなのです。ではどのぐらいの被ばくで胎児に影響が現れるのか。ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告によると100mGy以下の胎児被ばくでは障害が起きることはないとしています。

胎児への被ばくを左の表に示します。妊娠に気がつかずに検査を受けてしまうケースとして、検診の胸部写真や虫歯治療のための歯科X線写真、頭痛精査のための頭部CTなどが考えられます。しかしそれらが全く問題にならないことがわかります。もっとも直接的な照射を受ける骨盤部のCTでも100mGyには到達していません。
ただし、放射線治療やカテーテル治療ではこれ以上の被ばくを受けることが考えられます。しかし、放射線治療は妊婦さんには行いませんし、カテーテル治療の前には問診や妊娠判定検査等を行いますので心配はいりません。

放射線がどの程度危険なのかが、少しでもおわかり頂ければ幸いです。放射線は薬と同じです。確かに無害なものではありませんが、適切な使用下では大きなメリットになります。そして、病気でもないのに薬を飲む人がいないように、無駄に放射線を受ける必要もないのです。むやみに怖がりすぎるのではなく、正しい知識持って安心して検査や治療を受けていただければと思います。

X線検査 平均的な胎児被ばく線量(mGy)
頭部CT 0.005以下
胸部CT 0.06 以下
腹部CT 8.0
骨盤CT 25.0
胸部レントゲン 0.01以下
腹部レントゲン 1.4
ICRP Publ.84 2000

参考文献

「医療被ばく説明マニュアル」   編集 笹川 泰弘 諸澄 邦
「医療放射線防護の常識・非常識」 編著 大野 和子 粟井 一夫

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