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歯科口腔外科からのお知らせ

口腔領域の炎症

口腔領域の炎症は、そのほとんどは口腔内常在菌が原因となり、歯髄炎や歯周炎などの軽度のものから、顎骨炎、骨髄炎、蜂窩織炎などの重症感染症まで多岐にわたります。その多くは、腫れや痛みなどの症状を伴い、これによって様々な機能障害(噛めない、飲みこめない、口が開かないなど)が出現することがあります。一般の歯科治療で治ることがほとんどですが、炎症の重篤度や全身状態によって入院下での治療が必要となることもあります。むし歯や歯周炎から重篤な炎症を引き起こし、入院となることもめずらしくないのです。

口腔領域の腫瘍

口腔領域に発生した腫瘍は歯原性・非歯原性(歯が原因のものと原因でないもの)、良性・悪性に大別されます。歯原性疾患は歯が原因となって発生し、他の領域にはみられない大きな特徴となっています。

1. 良性腫瘍

基本的に摘出術を行いますが、若年者の場合は顎顔面の成長を妨げないような治療方針が必要となります。

2. 悪性腫瘍

口腔領域の悪性腫瘍は全領域の1 ~ 2% 程度ですが、腫瘍の発生・増大に伴う障害(食べる、飲みこむ、話す、味わうなど)は極めて大きいものです。口腔領域の悪性腫瘍の発生頻度は舌、顎骨、唾液腺、歯肉の順に多く、男女比はおおよそ2:1、平均発症年齢は65 ~ 75 歳とされています。
口腔領域の悪性腫瘍の場合、初期の段階では5 年生存率は90%を超えています。何かおかしいなと思ったら、早めに受診してみて下さい。

嚢胞(のうほう)について

嚢胞とは内部に膿を含んだ袋状の疾患です。歯原性・非歯原性(歯が原因のものと原因でないもの)に大別されます。悪性のものはありませんが、良性腫瘍と同様の治療が行われます。歯原性嚢胞は口腔領域に非常に多い疾患で、その大きさや発生部位などにより治療の内容がことなります。

有病者歯科治療について

近年高齢者人口の急増に伴い、様々な全身疾患を有する患者さんが増えています。このため通常の歯科治療を行うにあたり、一般の歯科医院では対応が難しい患者さんも少なくありません。私ども病院歯科(歯科口腔外科)では、全身疾患を有する患者さんに対して適切に評価・管理した上で、積極的に歯科治療を行っています。

顎の骨折

口腔領域の骨折には歯槽骨骨折(歯を支える部分の骨)から上顎骨々折そして下顎骨骨折、頬骨骨折などがあります。性別では圧倒的に男性が多く、20 歳台、30 歳台、10 歳台の順に続き、原因としては近年交通事故が減少し殴打によるものが増加する傾向にあります。治療は手術をする方法と、手術をしない方法があります。手足の骨折などでは、ギブスによって固定する場合が多いですが、顔にギブスをする訳にはいきませんので、上下の歯をワイヤーなどで結んで固定とすることが多く用いられます。

智歯(親知らず)について

親知らずは前から数えて8 番目にある歯です。通常10 代後半から20 代にかけて萌出します。しかし正しい方向・場所に萌出してくることは少なく、腫れたり痛みの原因となることも多く、症状のある場合はもちろん、症状がない場合でも予防的に抜歯することもあります。(親知らずの位置、方向、形態によって抜歯の方法は変わります。)これまでに親知らずに関して何らかの症状があった方は、受診されてはいかがでしょうか。

顎関節症および顎関節・咀嚼筋疾患について

 顎関節症とは、顎関節や顎を動かしている咀嚼筋の痛み(アゴが痛い)、顎関節の雑音(アゴを動かすと音がする)、開口障害(口が開かない)あるいは顎運動の異常を主な症状とする障害をまとめた病名です。顎関節症と同じ症状を生じる顎関節や咀嚼筋の疾患は多くあるため、専門医が医療面接と顎関節と咀嚼筋の診察、レントゲン検査、必要に応じてMRIやCT検査を行い、顎関節症以外の疾患を鑑別した上で顎関節症と診断しています。特に咀嚼筋の痛みは、見逃されることが多く、丁寧な触診を行い、痛みの原因を特定することに努めています。
 顎関節症に対しては、生活指導やストレッチなどの理学療法、薬物療法などの保存治療を行い、多くの場合、改善しています。一方、顎関節症の痛みが長期化し、慢性疼痛になっている場合や、顎関節症以外の原因で顎の痛みや開口障害が生じている場合があります。当科は難治性顎関節症や顎関節症以外の顎関節・咀嚼筋疾患の治療も積極的に行っておりますので、ご相談ください。

口腔顔面痛について

口や顔には多くの器官が密集し、多種多様の痛みを生じます。歯や顎関節、咀嚼筋に生じる痛みは他の部位に関連痛を生じる一方、頭部や頸部、胸部の疾患が口や顔に関連痛を生じます。さらに口や顔は他の部位より感覚が敏感であり、心理精神的な影響を受けやすいことが知られています。このため口や顔の痛みの診断と治療は難しいため、どこの病院に行っても「異常がない」といわれてしまうことがあります。
 当科では、こうした口や顔に痛みがあるにもかかわらず、他の医療機関で診断がつかない患者さんに口腔顔面痛の専門医が痛みの診断と治療を行っています。痛みの原因が初診時にわかる場合もありますが、経過を診ている課程で原因がはっきりする場合もあります。また痛みの原因によっては、ペインクリニックや脳神経内科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、精神科との連携が必要になる場合もあります。
 当科で扱っている代表的な口腔顔面痛疾患としては、歯に原因はないが歯に痛みを生じる非歯原性歯痛、歯科治療で三叉神経が傷害されて生じる神経の痛み(神経障害性疼痛)、舌や口の粘膜にピリピリ感を生じる口腔内灼熱症候群などがあります。また食べ始めるとアゴや耳下腺に激痛を生じるファーストバイト症候群などの稀な疾患の治療も行っていますので、口や顔の痛みで困っている方はご相談ください。

歯科インプラント治療について


 歯を失った場合には,ブリッジ治療や義歯治療が一般的に行われます。治療に際しては隣在歯を削ったり,残存歯に義歯のバネをかける必要があります。これらは歯にとって負担になります。
歯科インプラントを用いることで隣在歯を削ることやバネをかける必要がなくなり,残存歯の負担を軽減することが可能です。
 また歯科インプラント治療を受けたくても骨量が不足して治療が受けられない場合でも,手術で骨量を増やすことが可能な場合もあります。

注:歯科インプラントに関連した治療は一部の場合を除きほとんどの場合において自由診療になります。
  治療に要する費用は口の中の状態や治療内容により様々ですので担当医にお尋ねください。

 口腔腫瘍,炎症,外傷,先天奇形などにより多数の歯および顎堤(顎骨)を失った場合には,保険診療で歯科インプラント治療を受けることができます。従来の義歯では不安定な場合でも,歯科インプラントを併用することで安定させることができます。保険診療の適応になるかは外来受診して頂いて担当医にお尋ね下さい。

注:う蝕(むし歯)や歯槽膿漏(歯周病)で歯を多数失った場合には保険診療は適応されません。

顎変形症

A)顎変形症とは

・上あご(上顎骨)や下あご(下顎骨)の形や大きさの異常

・両者(上顎骨と下顎骨)のバランスの異常

これらに起因した、①噛み合わせの異常(不正咬合)、②言葉のわかりづらさ、③顔の変形(顔面非対称)などの状態を呈していることを”顎変形症”と称されます。顎変形症では、うまく噛めなかったり言葉が伝わりにくいなどの障害がでてきたり、また”受け口”や”顔が曲がっている”などと言われて容貌に一人悩むことも少なくありません。

主な症状:

 下あごが出ている,下あごが無い,受け口で噛めない,上あごが出て出っ歯,

 笑うと歯茎がとても見える,前歯が噛み合わない,

 顔が曲がっている(歪んでいる)


B)顎変形症の治療

一般的に歯並びが悪い場合は歯列矯正治療で改善することが可能です。しかし顎変形症では土台の顎骨に異常があるために歯並びの治療だけでは改善しません。顎骨のずれ・異常を解消しなければいくら歯並びを整えても治療に限界があります。したがって治療は、顎骨のずれ・異常を解消する手術(顎矯正手術)と歯列矯正治療を組み合わせて行います。

まずは専門の矯正歯科医院において1~2年程度かけて歯列矯正治療(術前矯正治療)を行い、歯列が整えたら手術で顎の位置を矯正します。手術は約2週間の入院が必要になります。基本的に手術は口の中からのみ行います。手術後に再び歯列の微調整を半年~1年かけて行い(術後矯正治療)、噛み合わせを安定させます。治療期間は治療後の経過観察も含めると約5年ほど要します。

注:

 一般的な美容整形とは異なり、顎変形症治療は保険診療が適応になります。

 顎変形症治療はあくまで咬合と顎位(顎の位置)を改善することで顎顔面の持つ重要な機能の調和を獲得することが目的です。したがって整容の改善を主目的とする美容整形とは異なります。

 

埋伏歯について

埋伏歯とは正常な位置に萌出できずに顎骨中に埋もれている状態の歯のことです。最も多いのは上下顎智歯です。次いで頻度は下がりますが、上下顎犬歯、上顎中切歯、正中過剰埋伏歯もしばしば治療対象になります。

治療について 
埋伏智歯は、抜歯そのものが困難な場合があり、分割抜歯された歯の再利用はできないのでそのまま廃棄することがほとんどです。正中過剰埋伏歯も再利用は困難な場合が多く廃棄します。
 犬歯等の本来萌出すべき歯については、埋伏状態を精査した上で、歯列形成に活用できるか判断します。うまく萌出位置に誘導できそうな場合は、開窓手術や歯の移植手術を行うことがあります。開窓手術とは歯冠を覆う粘膜・骨・歯胚組織を除去して歯冠を露出させて萌出させやすくする手術です。これによって埋伏歯を捨ててしまうのではなく、歯列形成に活用できる可能性がでてきます。

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