基本方針
当科は山形県及び山形市の中核病院の小児科で、スタッフは小児グループが6人、新生児グループが6人です。小児の各種疾患の診断治療、早産児、その他の新生児医療、小児救急医療、小児保健活動などを幅広く行っており、特に新生児医療と循環器医療に力を入れています。小児救急医療は、救命救急センターが365日24時間体制で対応しており、初期対応は当直医か救急医ですが、小児科医が必要時には随時対応しています。2010年4月に総合周産期母子医療センターが開設されました。山形大学医学部小児科、宮城県立こども病院などと協力して各医師の専門分野のレベルアップを図り、小児医療の質の向上に努めています。総合病院としての強みを生かし、手術が必要な外科、小児外科、耳鼻科、眼科、形成外科、泌尿器科、脳神経外科などとの協力体制も整っています。また当院は臨床研修指定病院となっており、毎年14~16名ずつの初期研修医を指導し、1~3名の小児科専門研修医を育てています。
診療内容・特徴等
外来患者数は1日平均65人で、救命救急センターの時間外小児科患者数は年間2,850人(うち8.5%が入院)です。一般小児の病床は19床で年間入院数は800〜1,000人。呼吸器感染症が50%、消化器疾患が13%で、他に伝染性疾患、気管支喘息、尿路感染症、腎疾患、血液疾患、神経系感染症、心疾患、川崎病などを対象としています。血液・尿などの検体検査の他に、超音波・CT・MRI・内視鏡などの画像検査を積極的に取り入れ、早期診断・早期治療・早期退院に努めており、平均入院日数は5.2日となっています。
新生児
NICU、GCUでは、それぞれ9 床と18床のベッドを持ち、5人の常勤医が患児を受け持っています。体重が500g未満の超低出生体重児を代表とする早産児、呼吸器疾患、循環器疾患、神経疾患、感染症など新生児に関する疾患をすべて対象としています。現在県内全域、時には他県からの新生児、母体搬送(産科にて)を受け入れています。
乳児健診
一般乳幼児の1ヵ月、2ヵ月、4ヵ月、9ヵ月健診の他に、新生児病棟を退院した乳児たちのフォローアップ、育児指導、発達評価などを行っています。
循環器
先天性心疾患、不整脈、川崎病などの診断治療・フォローアップを行っており、年間新患数110人、心エコー検査510件です。2015年4月以降は、小児の心臓外科手術は山形大学病院、宮城こども病院などにお願いしています。
腎泌尿器疾患
尿路感染症、ネフローゼ症候群、急性腎炎などの検査と治療を行っています。
血液・免疫疾患
血液疾患一般、免疫不全、自己免疫疾患の診断、治療を行っています。
食物アレルギー
食物アレルギーの確定診断、治療方針の決定のために1泊2日程度の入院で食物不可検査を行なっています。
低身長
成長ホルモン分泌不全性低身長、SGA性低身長の検査と成長ホルモン治療(約25人)を行っています。
漢方治療
自立神経失調症、夜泣き、かんしゃく持ちなど、西洋医学では対処困難な症例を、漢方薬などを用いて治療しています。
カウンセリング
非常勤の森岡が担当。心の問題、発達遅延、言葉や活動に問題のある児を対象に、月に2回、金曜午後にカウンセリングを行っています。 (令和5年4月から再開しました)
主な疾患
小児疾患
呼吸器疾患 | 急性上気道炎、急性喉頭炎、急性気管支炎、急性肺炎、急性細気管支炎 |
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消化器疾患 | 急性胃腸炎、腸重積症、急性虫垂炎、急性肝炎、肥厚性幽門狭窄症、ヘリコバクター・ピロリ感染症 |
感染性疾患 | 水痘、麻疹、おたふくかぜ、伝染性単核症、突発性発疹症、川崎病、インフルエンザ、百日咳、溶連菌感染症 |
神経疾患 | 熱性けいれん、てんかん、無菌性髄膜炎、細菌性髄膜炎、急性脳炎・脳症 |
腎泌尿器疾患 | 尿路感染症、ネフローゼ症候群、急性腎炎、慢性腎炎 |
血液免疫疾患 | 鉄欠乏性貧血、血小板減少性紫斑病、lgA血管炎、先天性免疫不全、自己免疫疾患 |
循環器疾患 | 先天性心疾患、不整脈、起立性調節障害 |
アレルギー疾患 | 気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー |
内分泌疾患 | 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(クレチン症)、 成長ホルモン分泌不全性低身長 |
新生児
早産児 | 超低出生体重児を中心とした低出生体重児 |
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呼吸 | 呼吸窮迫症候群を代表とした未熟性に伴う呼吸障害や、一酸化窒素の吸入が必要そうな肺高血圧症なども治療可能です。現在膜型人工肺(ECMO)の設備はなく、膜型人工肺を必要とする場合にはその設備を所有する病院への転院が必要です。 |
先天性心疾患 | 早期に診断治療が必要な先天性心疾患 |
スタッフのご紹介
氏名 | 卒業年・資格 | 専門・研究分野 |
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饗場 智 | 昭和62年卒 東北大学医学部小児臨床准教授 医師臨床研修指導医 |
小児・新生児疾患 |
若林 崇 | 平成6年卒 日本小児科学会専門医 |
小児科・新生児 |
近岡 秀二 | 平成8年卒 日本小児科学会専門医 医師臨床研修指導医 |
小児科一般 小児漢方 小児腎尿路疾患 |
渡辺 哲 | 平成10年卒・平成17年大学院卒 日本小児科学会専門医 医師臨床研修指導医 |
小児科・新生児 |
小野田 正志 | 平成13年卒・平成20年大学院卒 日本小児科学会専門医・指導医 |
免疫不全、自己免疫疾患 血液・腫瘍性疾患 アレルギー疾患 |
渋谷 守栄 | 平成24年卒 日本小児科学会専門医 |
小児科一般 |
目時 嵩也 | 平成25年卒 日本小児科学会専門医 |
新生児医療 |
金丸 茉莉恵 | 平成25年卒 日本小児科学会専門医 |
新生児医療 |
黒田 薫 | 平成29年卒 日本小児科学会専門医 |
小児科一般 小児循環器 |
白石 直広 | 平成30年卒 | 小児科一般 |
岩淵 蒼太 | 令和2年卒 | 小児科一般 |
石黒 想子 | 令和3年卒 | 小児科一般 |
術例・治療例
術例・治療例 | 件数 | 備考 |
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2023年度小児科入院の主な疾患症例数 |
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急性気管支肺炎 | 296例 | |
急性咽頭炎・扁桃炎 | 78例 | |
細菌性・ウイルス性胃腸炎 | 83例 | |
気管支喘息 | 32例 | |
急性喉頭炎 | 6例 | |
痙攣性疾患 | 79例 | |
尿路感染症 | 15例 | |
川崎病 | 30例 | |
アナフィラキシー | 14例 | |
COVID-19 | 22例 | |
鎮静下日帰り検査 | 66例 | |
食物アレルギー負荷試験 | 84例 | |
その他 | 86例 | |
入院総数 | 891名 | |
2023年度NICU/GCU入院症例数 |
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総数 | 116名 | |
出生体重 500g未満 | 1例 | |
500~1,000g未満 | 12例 | |
1,000~1,500g未満 | 10例 | |
出生週数 24週未満 | 0例 | |
24から28週未満 | 9例 | |
28から32週未満 | 13例 |