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間脳下垂体部疾患|脳神経外科

はじめに

 間脳下垂体部とは、脳が感じた環境の変化や脳自体の命令に応じて、体のいろいろな働きを調節して環境に適応させたり、成長、生殖などに関与する場所です。具体的には、食欲・性欲・性周期・妊娠出産・体温調節・成長・代謝など多くの働きに関与しており、自律神経や下垂体からのホルモン分泌を介して機能を発揮しています。
 脳神経外科で扱う間脳下垂体部疾患には、腫瘍・嚢胞(液体が溜まる病気)などがありますが、病気をただ取り除くだけではなく、間脳下垂体部の働きを極力損なわないように配慮したり、万が一その働きが弱くなってしまった際には不足したホルモンを補って正常の体の働きに近づける必要があり、脳神経外科疾患の中でも特殊な知識と経験を要する分野です。以下に、代表的な疾患の主な治療法につき概説します。各疾患の詳細については、日本脳神経外科学会ホームページの脳神経外科疾患情報ページをご覧下さい。

下垂体腺腫

 脳下垂体にできる腫瘍で、ほとんどが良性腫瘍です。下垂体腺腫にはホルモンを過剰に分泌して体型に変化を生じたり、高血圧・糖尿病・心疾患・性機能障害などを起こしてくるタイプ(機能性腺腫)と、体の働きに影響するホルモンを分泌しないタイプ(非機能性腺腫)とがあります。
機能性腺腫には先端巨大症(手足の肥大・顔つきの変化・高血圧・糖尿病・心不全など)、プロラクチン産生腺腫(無月経・乳汁漏出・不妊)・クッシング病(肥満・糖尿病・高血圧・骨粗鬆症)などがあり、いずれも腫瘍が小さいうちから症状が明らかになることが多いのが特徴です。治療法は腺腫の種類によって異なり、患者さんの年齢、病状、摘出の難易度などを考慮の上、薬物療法か手術による摘出を行います。手術はほとんどの場合、鼻の孔から神経内視鏡を挿入して行う内視鏡手術(内視鏡下経蝶形骨洞手術)を行っています。
 一方、非機能性腺腫は、大きくなって視神経を圧迫して視力・視野に異常を生じたり、正常の下垂体が圧迫され下垂体の働きが悪くなって体に変調を生じてから受診されることがほとんどです。このタイプの腫瘍には薬物療法は無効ですので、手術治療が第一選択となります。多くの場合、神経内視鏡による手術が可能ですが、腫瘍が大きく頭の中に複雑に入り込んでいる場合には開頭による手術を要する場合があります。
 内視鏡下経蝶形骨洞手術の腫瘍摘出率・ホルモン分泌の正常化率は共に80-90%台です。何らかの理由で腫瘍が十分に取り切れなかった場合、放射線治療であるガンマナイフ治療を選択します。これらの治療は、何れも当院で受けることができます。

ラトケ嚢胞

 脳下垂体部に液体が貯留するものです。腫瘍ではありませんが、大きくなると下垂体腺腫同様、視力・視野が障害されたり、下垂体の働きが悪くなったりします。また稀に、嚢胞の周囲の下垂体が炎症を起こして急激に下垂体機能不全に陥り非常に重篤な状態になることがあります。無症候であれば治療の適応は無く、自然退縮する例もあります。症状が出た場合には治療が必要になりますが、下垂体腺腫と同様に、神経内視鏡を用いて嚢胞を開放し内部を洗浄する手術(嚢胞開放術)を行います。

間脳近傍の脳腫瘍

 この部位にできる脳腫瘍には、頭蓋咽頭腫・胚細胞腫瘍・松果体部腫瘍・鞍結節髄膜腫・視神経膠腫などがあり、多くの場合開頭による手術を必要とします。この部位の手術の難易度は非常に高く、また腫瘍の種類によっては手術後に放射線治療・化学療法(抗癌剤治療)が必要となる場合があります。

水頭症・脳室内腫瘍に対する神経内視鏡手術

 脳の中には、脳室と呼ばれる脳脊髄液が循環している空間があります。水頭症は、何らかの原因により脳室内の脳脊髄液の循環が滞ってしまい、脳室が膨らんできて脳を圧迫してしまう病気です。水頭症に対する治療として、従来脳室と腹腔を細い管で交通させ、脳室内に溜まった脳脊髄液をお腹の中に流す手術(脳室—腹腔シャント術)が主体でした。頭の他、胸、腹の皮膚に創が残り、体内にチューブが残ったままとなります。もしもそのチューブが感染したりシャント機能に障害が生じれば再手術が必要になります。近年、ある種の水頭症に対して、内視鏡を用いて脳室の壁に1箇所孔を開けて水頭症を改善させる手術手技が確立され(第3脳室底開窓術)、当科でも導入されております。高解像度の内視鏡(ビデオスコープ)の導入により、より安全・確実な手術を行うことができるようになりました。この手術では、頭の皮膚に1-2箇所しか創が付かず、体内に何も異物が残りません。また、脳室内の内視鏡手術は、脳室内にできた腫瘍の生検術(腫瘍の一部を摘出し、顕微鏡で見て診断)にも応用されています。

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